デフバスケとは?ルールや大会などを解説!日本代表男子監督のインタビューも

聴覚障がい者によるバスケットボールのことをデフバスケットボール(デフバスケ)といいます。今回はこのデフバスケについてルールや実施されている大会などについてご紹介します。

さらに後半では、デフバスケ男子日本代表を務める上田監督にお話しを伺いました。バスケの練習方法や様々なスポーツにも役立つ心構えなどをお答えいただきましたので、ぜひご覧ください。


目次

  • デフバスケ日本代表選手が活躍中!
  • デフバスケのルール
  • デフバスケ日本代表監督に質問!Q&Aインタビュー

デフバスケとは?


デフバスケットボールとは、聴覚障害者によるバスケットボール。競技中の仲間が⾛り回る⾜⾳、ドリブルでボールが跳ねる⾳、味⽅や監督の声、観客の応援の⾳などが聴こえにくい、もしくは全く聴こえない状態でバスケットボールをプレーします。
参照元:日本デフバスケットボール協会

デフバスケは全国各地で男女合わせて15チームが存在し、活動しています(2018年11月現在)。

国内では特定非営利法人日本デフバスケットボール協会(JDBA)主催の大会や、交流事業として聴覚障がい者も聴者も参加できる全国デフバスケットボール選手権大会(ミミリーグ)などが開催。2019年度は東京で全国デフバスケットボール大会が開催される予定です。

デフバスケ日本代表選手が活躍中!


出典:デフバスケットボール日本代表公式サイト

デフバスケは男女それぞれ日本代表選手が活躍中! 日本代表選手はJDBAでトライアウトが実施され、そこから日本代表が選出され、国際大会へ派遣されています。

デフバスケの国際大会はデフリンピック、世界選手権大会がそれぞれ4年に1度開催されています。

なお、国際大会では国際デフスポーツ(ICSD)憲章の決まりにより、「聴こえのいい方の耳で55db以上の聴力障害のある者」であることが出場資格となり、競技中は補聴器や人工内耳の使用が禁止されています。

メンバーにはU21デフバスケ男子日本代表の津屋一球選手、U21デフバスケ女子日本代表の三宅渚紗選手などが選出されています(2018年11月現在)。

デフバスケのルール

デフバスケのルールは基本的に聴者のバスケットボールのルールと同じです。国内大会に限って、審判のジャッジが伝わりやすいような工夫がされています。

例えば、JDBA主催の大会においては、試合中のコートにフラッグマンを設置し、審判やテーブルオフィシャルのブザーが分かるように旗を振って、選手に対して視覚的な状況判断をできるような補助を行っています。

デフバスケ日本代表監督に質問!Q&Aインタビュー

ここからはデフバスケ男子日本代表監督を務める上田頼飛さんへのインタビューをご紹介します。

デフバスケの練習に対する想いや工夫は聴者のバスケットボールの他、様々なスポーツや日常でも役立つお話でした。

Q1.声かけが苦手な子供へのアドバイスがほしい!

練習や試合で声を出すことが恥ずかしいと思ってしまう子供たちが少なくなく、特に思春期にありがちです。人前で声を出すことを恥ずかしいと思ってしまい、声を出せない子供たちがいると思いますが、そんな子供たちの所属するチームにアドバイスがあれば教えてください。

A1.【答え】自然に声をかけ合う雰囲気作りをしよう


上田さん
私は2014年からデフバスケの男子日本代表の監督になり、耳に障害のある選手たちと一緒にチームを作ってきました。

日本代表と言えば聞こえは良いかもしれませんが、日本はまだまだこれからのチームで、指導を始めたころは「聞こえないし、声を出す必要なんてないでしょ」という空気も漂っていました。

そこで私は選手たちを集め、ミーティングを行いました。選手たちには「聞こえる聞こえないは問題ではなく、想いを伝えることが大切だ」と伝えました。想いを伝えるのと同時に、相手の想いを受け止めるという姿勢が大切です。

頭ごなしに「声を出せ!」というのではなく、「声を出しても良いんだ」と思えるように普段から声をかけ合うようにするとチームは良い雰囲気になってくると思います。

想いを伝え相手の想いを全身で受け止めることが大切

部活の中でも先輩たちが声を出さないとか、シュートが入るからといって声を出さないという人もいますが、上田監督は声を出すことにどのような効果があると考えていますか?

上田さん
声を出すというのは、相手に想いを伝える手段の一つで、想いを伝える方法は身振り手振りや表情など様々なものがあります。

相手の考えを理解することができなければ、敵選手に抜き去られてしまうし、仲間との連携プレイにも支障をきたしてしまうでしょう。

もっと言うと、キャプテンやポイントガードのような選手は、自分の考える戦術(流れや想い)を声に出さずに味方へ伝えようとします。

これができるようになるためには、何度も何度も練習を繰り返す必要があるのですが、臨機応変な対応が求められる試合では仲間同士の暗黙の連携プレイができるかがチーム力として出てきます。

一人で試合ができないと思うなら、相手の考えを理解できるように練習中から相手の想いを全身で受け止めるようにしていくことが大切です。

スキンシップを増やしてチームの雰囲気を少しずつ変えていこう


最後に、声が出て活気のあるチームを作るためにはどのようにすればよいでしょうか。

上田さん
声を出すことを恥ずかしいと思う選手が多ければ、一朝一夕に活気のある練習に変えることはできないので焦りすぎないことですね。

私はウォームアップ中のスキンシップや一声かけることが良いのではないかと思います。選手同士が顔を見て、「ナイス!」や「OK!」や「どんまい!」などの声をかけ合い、ハイタッチなどをすることで、“このチームは声を出しても良いんだ”という安心感がチームの中に広がります。試合や練習前の円陣なども良いと思いますよ。

相手に興味を持ち、共感を示してあげることが、チーム内の雰囲気を良くしてくれると思います。

Q2.デフバスケではどのようなセットオフェンスの練習をしていますか?

大人でも難しいと感じる複雑なセットオフェンスに悩む子供たちは少なくないと思います。デフバスケ男子日本代表ではどのような練習をしているのか是非教えてください。

A2.自分たちの動きを客観的に見るためのメニューを取り入れます(メニュー付)


上田さん
まずは自分たちの動きを客観的に見てみるのはとても有効な方法です。スマートフォンやビデオカメラを使って、自分のチームの動きをチェックしましょう。試合や練習中に見えている自分の視野と外から見たときの視野は異なるはずです。

映像を見て互いに、あの時はああすればよかったなどを話し合い、練習の中でその動きを確かめることでチームの絆は強くなると思います。

視点を広くリラックスしてプレイしよう!

少し難しいですが、視野と視点の違いについてお話をします。

視野というのは、目を開いているときに見えている景色全体のこと。視点というのは、目を開いているときに脳が認識できている箇所のことです。視点を広く動かして様々な角度でコートを見渡す練習をしていないと、実は見えているようで脳では認識できていなくて目をつぶっているのと同じような状況になってしまいます。

目の前のプレイに集中しすぎたり、「うまくやろう、うまくやろう」と焦って肩に力が入るとよくありません。顔を上げてリラックスしてプレイできるように努めましょう。

人の動きを予測しながらプレーするための練習方法


客観的に自分たちの動きを研究したり、視野と視点を意識してプレイすることが重要なんですね。それでは、どのような練習をすれば、チーム連携がうまくできるようになりますか?

上田さん
デフバスケ男子日本代表の練習でも取り入れていますし、昨年の11月に創設した「one-s future」というNPO団体の活動で小学生にバスケットを教えるクリニックでも行っているメニューをご紹介します。

【この練習から得られる効果】
バスケに必要な3つの要素を鍛えることができます。
(1)1人でも多くの人を視野に入るように動くこと
(2)仲間の動きを観察し、スピードや癖を記憶すること
(3)瞬時に判断をし、空いたスペースに飛び込むこと
また、対応力を鍛え、スポーツ全般の運動能力向上にもつながります。

【基本の練習方法】
(1)ハーフコート内の重要な8~10か所のポジションにマーカーを設置
(2)5人を別々のマーカーの前に立たせる
(3)笛の合図で空いているマーカーに走らせる

【練習のポイント】
5人全員の動きを見ないといけないですし、人の動きを見ながらスペースへ移動しないといけません。

【応用編】
慣れてきたら、下記のような練習方法もおすすめ。

  • マーカー前ではなく、マーカー間に立たせる
  • 動く人を2人→3人としてずらしてみる
  • ボールを入れてみたりしてので、是非遊びながら試してみてはいかがでしょうか。


取材協力:デフバスケットボール男子日本代表監督 上田頼飛さん
バスケの傍ら、2016年から真言宗山階派の僧侶として和歌山・大阪を拠点として活動している。同年11月にはNPO「one-s future」を設立し、デフバスケットボールを通じて学んだコミュニケーションの大切さを広める活動を行っている。来年2018年7月にデフバスケのU-21世界大会が行われる。

詳しくは、特定非営利活動法人 日本デフバスケットボール協会
取材協力していただいた上田監督の活動ブログ

 

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